第二章 まどろみの邂逅

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「さて、説明して頂けますか?御二方」 二人の少年を前に、雫智(ナチ)が意図的に表情を消して尋ねかける。 一方の少年達も、先程までの表情とは打って変わって真剣な瞳で雫智を見据える。 それだけで雫智は、何かがあったか、もしくはこれから起こるのだと察した。 「はぁ…やっぱりここのあんみつはおいしいわぁ」 一方の茜織(センリ)と祐月(ウゲツ)は、やはりそのままあんみつを食べに来ていたようだ。 物凄く幸せそうな茜織とは逆に、祐月は見ているだけで気持ち悪そうである。 …余程甘いものが苦手らしい。 幸せそうに匙(サジ)を口に運ぶ茜織に、祐月はかなり呆れた視線を向けて言った。 「よくそんなもん食えるな、お前も雫智も」 「だっておいしいんだもん」 「どこがだ」 「全部」 「………そうかよ」 最早反論する気も失せてしまう。 甘党と非甘党では、根本的に甘いものに対する考え方が違うのかもしれない。 「あー、おいしかった」 「それはよかったな」 満足そうな茜織と、呆れたような祐月。 あの後茜織はさらに串団子十本とぜんざいまで食べたのだ。 ………………この細い体のどこに入るのかは謎である。 「帰って晩飯入るのか?お前」 「え?余裕だよ?」 アッサリと答える茜織。 それどころか、やっぱりお饅頭お土産に買って帰った方がよかったかなぁ、などと呟く茜織に、祐月はまだ食う気か!?と心の中で叫んで口元を引きつらせた。 .
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