最終章 走り出す

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最終章 走り出す

あれから20年、僕は夢を叶えた。 卓球の選手としての芽は出たとは言えないかもしれない。 でも今僕は、卓球スクールの講師として雇われ、大好きな卓球を仕事に生活できている。 子供の頃の夢は叶ったのだ。 そして今の夢は・・・ 祖母と同じ夢になった。 家族や大切な人達の幸せ。 「・・・負けるわけにはいかない!」 再び激痛が走る。 だが僕は怯まない。 もう覚悟は決まったのだ。 負けるわけにはいかない。 この絶望的状況に。 家から出て通勤で最寄駅に行く途中、突如として僕を襲った不運。 そんな不運にも立ち向かい・・・ 僕は打ち勝つ! 苦難、逆境、焦り、敵意。 そんなものに負けない。負けてたまるか。 自分に誓う。 「どんな絶望的状況でも僕は打ち勝つ!!!」 そう・・・ 打ち勝つ・・・! この絶望に。 この ”便意” に!!! 僕は意を決して走り出した。 もうすぐ漏れそうという状況において走るというのは危険な行為だ。 家から駅までの間、公園やコンビニはない。 家に戻る時間もない。 駅のトイレしか活路はない。 今いる場所から駅のトイレまでは後300メートル程。 今までのペースでは間に合わない。 走るしかないのだ。 鍛え上げた動体視力で、人々の動きを察知、予想し、     
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