1章 激痛の最中

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子供が健やかに育ち、幸せな家庭を気づき、幸せな人生を送ってくれること。 そんな姿を妻と共に、ずっと見ていたい・・・ 夢とは真に望むもの。 心の底から切望し、思いこがれるもの! 家族の幸せ。それが一番の夢。 そしてそのためには今の苦境に負けるわけには行かない。 敗者のいく末は幾度となく見てきた。 その末路は悲惨なものだ。 負ければ私も、もう家族には顔向け出来まい。幸せな未来は訪れない… この絶望的状況に打ち勝たなければ。 心の底から思った。 そう。この状況に打ち勝つこと。 それもまた夢なのだ。 「負けるわけには行かないな。」 そう呟いた瞬間、また誰かが僕を呼ぶ声が聞こえた。 「ゆきおに、秘密のおまじないを教えてあげよう。」 今度ははっきりと聞こえた。 今とさっき、僕を呼んだ声は見知った声だ。 そう、あれは・・・ 「サナエおばちゃん!」 サナエおばちゃんは群馬に住んでいる僕の祖母だ。 さっき僕を呼んだのは確かにサナエおばちゃんだ。 でも、その声が聞こえるはずがない。 サナエおばちゃんは5年前、群馬で天国に旅立ったのだ。 僕は直感で理解した。 あの声は過去。 過去の記憶だ。 僕は目を閉じ、記憶を辿り始めた。
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