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多額の金額を生み出す薬物とマフィアは切り離されない関係ではあるが、ことルチアーノ・ファミリーにおいては、薬物の取り扱いは掟において固く禁じられていた。
ファミリーができた初代から頑なに守られてきた掟であるために、今でもファミリーが管轄をしている帝国領、第二地区では持ち込みや売買は、徹底的に排除の対象となっていた。
そのおかげで、世界で最も広大な土地を有する帝国領の中でも、第二地区では薬物中毒で身を崩している者はいない。どうしても、薬を欲するものは第二地区を出ていくしかないのだ。そのことは、アンダーグラウンドに身を置く者ではくとも、周知されている事柄だった。
だというのに、昼食をとろうとしてた耳に、よりにもよって自分が縄張りにしている区域で、薬を売ろうとしている馬鹿がいるという連絡が入って来たのだ。
おかげで、昼食を食いっぱぐれてしまった。
凄惨(せいさん)な暴力をふるっていた若い男――ルチアーノ・ファミリー幹部第七位に席を持つ、アルジェント・セッテは、ある程度の制裁を加えたと判断し、男の後頭部をようやく解放してやった。ぼろ屑のように、力なく地面に落ちる馬鹿の身体を足先で転がし、近くで待機していた部下たちに指示を出す。
「表に転がしとけ。あと、隠してるヤクはすべて押さえとけ」
「はい(スィ)、ボス」
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