一発目 アルジェント・セッテ

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「じゃあ、なんだ? おめえは、今まで取っ捕まえた馬鹿を、全員本部に連行してきたのかよ? ああ?」 「……それは」  馬鹿は適当に痛めつけて放置しておく。一度限りの温情は、アルジェントだけではないはずだ。誰もが、似たような経験はあるのだろう。絡んできた幹部も、言葉を濁す。 「……とりあえず、今度から似たようなことがあれば捕えておこう。もしかしたら、何かしらの話が聞けるかもしれない。アルジェント・セッテ、お前もそれでいいな?」 「ああ。次からは、な」  最終的に、ネロの報告を待つことにして、この日の会議は終わりを告げた。 「お疲れ様です、ボス」 「おうよ」  会議室のある本部から出て、車に乗り込む。運転席から、エルネストのねぎらいの視線が向けられる。アルジェントは会議の内容をかいつまんで、エルネストに話した。  あとは、エルネストから主だった部下たちに話が行くはずだ。会議の内容は、部隊長までいけば、十分だった。末端の連中は知らずともよい情報もある。  「では、今度からヤクに関する連絡はボスではなく、本部に回せばいいんですね?」 「ああ。ロッソが本部の人間で連絡班を組むそうだ。ま、今のところは様子見といったところだろうが……あ、いつものところに寄れ」 「はい(スィ)、ボス」     
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