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夕闇の迫る時間帯は、プライベートだ。何かしらのパーティーなどがない限り、自分の好きなように使える。アルジェントは夜になると、自分のしきりにしている店で飲み、そして一夜を過ごす女を選んで朝を迎える。それが、ルーティンになっていた。
「ということは、今夜は白雪姫ですか?」
白雪姫というのは、アルジェントが管理している店でも最も古く、そして最も規模の大きな買春宿だった。花街の看板宿でもある。
アルジェントが一番贔屓にしている娼婦がいるので、必然的にその店に顔を出すことは、多くなる。
その店に顔を出す時は、たいていプレゼントを買うために、とある店に寄るので、エルネストにも、アルジェントが向かう店の目星がつくのだろう。
「まあな」
会議の内容は内容として、ひとまずは魂の洗濯だ。ニヤリと口角を上げる。
そろそろ新作が入っているはずだ。前回購入したのも悪くはなかった。やはり、買い物ならばあの店だ……などと考えているうちに、車は目当ての店に辿り着いた。
「いらっしゃいま――おお、これはこれは。旦那様」
煌びやかな様相の店構えは、一見すると宝石店のようだった。実際に、この店では宝石も取り扱っているのだが、それ以外にも女性用の下着も取り扱っていた。
帝国において、男性が女性に下着をプレゼントするのは、決して珍しくはない。
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