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ただし、男性が女性に下着を送る際は、日常的に使うような安物ではなく、このような宝石店で売られているような高級な下着などに限るものになる。
「どうぞ、こちらへ」
店員の紳士に案内されるまま、通い慣れた通路を使って奥の部屋へと運ばれる。
高級下着を女性に贈ることができるのは、裕福な生活をしている紳士の密やかな楽しみなのだ。ゆえに、この奥まった部屋に案内されるのは店に認められた顧客のみである。
また、女性が自らこの手の店で買うことはマナー違反というのが暗黙のルールだった。
「新作の、とてもすばらしいデザインのものがございますよ」
案内された部屋には、女性用の下着が本当の宝石のように美しく、そして煌びやかに展示されていた。最安価のものを選んでも、普通の品物の約二十倍の値段である。
アルジェントは値段など見ることもなく、商品を吟味していく。
「旦那様。こちらのストッキングなどは、いかがでしょう? 最上級の絹を使用しております。まるで、天使の羽のような軽さですよ」
大事そうに箱に入っているストッキングを、丁寧に紳士は手渡してきた。
一応、手触りなどを確認してみると……なるほど。確かに最上級だ。おそらく、これほどの品、貴族の姫君でもそう持ってはいないだろう。
「これは、よろこびそうだな。十足ほどくれ」
「かしこまりました」
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