一発目 アルジェント・セッテ

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 ≪白雪姫≫に入る前に立ち寄った宝石店で買ったプレゼントの袋も、アマンダに預けた。 「……はあぁあああ……ようやく、気が抜けるぜ」  すべての楔から解放されたように、安堵の息をつく。衣服と共に、アルジェントが背負っていたものを、ひとまず置くことができるのが、このアマンダの場所だった。  彼女とは、まだアルジェントが少年時代からの付き合いである。彼女は気心が知れている相手でもあり、花街を総べる一人の人間としても信頼を置いている人間でもあった。 「ベイビー。そういう格好をしていると、本当にセクシーよ。出会ったばかりの時は、ようやく下の毛が生えそろったばかりの子供だったのにねぇ」 「あんたには、そん時から世話になってるよ。俺が、組織の幹部になってから、オッサンから最初に任されたのが、あんたへの挨拶だった時は驚いたもんだ」 「そうねぇ。あたしは、ベイビーがルチアーノ・ファミリーに入ったと話を耳に入った時から、なんとなくそうなるとは思っていたけどねぇ……」 「俺が幹部になると、思ってくれていたって?」 「ふふ」  艶やかな流し目を受けながら、アルジェントはこの部屋での定位置となっているテーブル席に腰を下ろす。テーブルの上には、軽食とカードゲームが用意されていた。     
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