一発目 アルジェント・セッテ

34/37
134人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
 アマンダもアルジェントと対面する形でその豊満な肉体を収める。 「ベイビー。今宵はスリーカードゲームでも、いかがかしら?」 「そりゃ、いいな」  彼らは帝国で流行っているカードゲームに興じることにした。掛け金の発生するゲームで、大人の遊びの一つである。アルジェントとアマンダは、部下たちの勘繰りとは異なり、褥を共にするわけではなく、こうして一夜カードゲームを楽しんだり、談笑をして朝まで過ごすのだ。  普段、誰に対しても気を張らなければならないアルジェントにとっては、アマンダのいる、≪白雪姫≫は数少ない息抜きができる場所だった。  彼女には、アルジェントの他人に知られたくない秘め事も知られているので、気を張る必要もないのだ。アルジェントとアマンダは、ビジネスだけではなく、母と子にも近い信頼関係を結んでいた。  カードゲームに興じながら、たまに仕事の話題を挟み込む。 「薬が、この第二区で?」 「まあな。そういう話があるらしい。あんたのとこじゃ、そういう話はないのか?」 「今のところ、この花街ではないはずだけど……少し詳しく調べておくわ」 「おう。頼まあ。ネロの野郎が調べさせるとは言ってけど、あいつじゃイマイチ頼りにならねーからな」     
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!