一発目 アルジェント・セッテ

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「おやまあ、ネロの坊ちゃんといえば幹部第三位……ベイビーより、上位幹部じゃない」 「幹部位だけはな。年齢は俺のが上だし、男としても俺の上だ。あいつは、見てくれと家柄がいいだけだ」  年齢が近いこともあり、何かと比較されることの多いアルジェントとネロは、当人同士は個人的にあまりしゃべる機会もないのだが、アルジェントは少しだけ、ネロを意識していた。  もちろん、いい意味ではない。金持ちで地位があって、おまけに顔がいい男なんて、好きになれる理由が一つもない。 「そのうち、俺がサクッと抜いてやるよ」 「それは、頼もしい話ねベイビー」  用意していたワインをクイッと飲み、アマンダは艶やかな微笑を浮かべた。  彼らは夜が更けるまでカードゲームを楽しみ、深夜三時近くになってようやく、同じベッドに入って眠りについた。ベッドは広いので、二人で眠っても問題はない。  翌朝、アマンダよりも早く目が覚めたアルジェントは室内に併設されているシャワールームを使い、寝汗を流す。腰にバスタオルを巻いだけの姿でシャワールームを出ると、アマンダが昨夜とかわらぬ、完璧なメイクの姿で待機していた。 「起きてたのか」 「おはよう、ベイビー」     
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