早朝巡察

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早朝巡察

 街の警備は主に、騎兵府が行っている。  五つある師団が一カ月単位で持ち回りを決め、東西の関所近くにそれぞれある兵舎と、城から真っ直ぐに続くメインストリートにある中央関所の、計三つの兵舎に駐留している。  当然メインストリートにある中央関所に隣接する兵舎が一番大きく、師団長がいる。  東西の兵舎にも師団長の下につく副官がいて、常に城壁と関所の監視と警備を行っている。  街の巡察も彼らの仕事だ。  今回の襲撃事件で一番の被害を出しているのは、この街警を担当している第一師団の者だ。  負傷者が増えた事から通常業務に専念する事が決まり、本日より街の巡察は他の師団が受け持つ事となった。  同じ隊の仲間がそうした被害にあっていることに怒りを覚える者はいても、これを面倒がる者はいない。  この日の早朝、ランバートは第五師団預かりとして先輩隊員と共に、まだ朝靄の残る街の巡察に出ていた。 「それにしても、早朝巡察は少し眠いね」  同じ黒の制服を着た眼鏡の青年が、締まりのない顔で笑う。  勤続年数にすると一年ほど先輩にあたる彼は、少し冷える朝の空気に寒そうに体を擦った。     
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