単独潜入任務

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単独潜入任務

「お前は何を考えているんだ!」  濡れた衣服を着替えて早々に、騎兵府執務室へと呼び出されたランバートにかかった第一声は、これだった。  目の前のファウストは青筋が浮きそうなほど怒っていて、一時間くらいの説教を覚悟させられた。 「二人一組での巡察はルールだ。その理由は分かるな」 「一人で対応できない事態への対処。およびそれらの事態に直面した時、どちらかだけでもその場から離脱し、本隊へ報告するためです」 「分かっているなら単独行動をするな。街の巡察とはいえ、今は事件も起こっている。何よりお前に何かあったら、俺は困る」  最後は溜息だった。勿論この言葉は保身ではなく、心配なのだと分かる。そういう人だから、ランバートはこの人がけっこう好きだ。 「以後気を付けます。ですが今回は、嫌な予感がしたんです。胸騒ぎのような。杞憂であればいいと思っていましたが、このような事になってしまって」 「言い訳するな。ったく、本当に忌々しい。あいつらは俺を過労にでもしたいのか」 「そうなれば、軍神不在となって奴らは小躍りして喜びますね」     
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