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「武瑠様、紅茶でもいかがですか?」
寝ボケ眼の俺にロイがロシアンティ―なるものを煎れてくれた。
「毎晩、武瑠様が遅く帰ってこられるのをシオン様が心配なさってますよ」
「へ?シオンが・・なんで?」
「・・サァ・・何故でございましょうねぇ?」
ロイは意味深に微笑んだ。
「俺、男だし夜中に帰ったってシオンに心配されるようなことなンも無い――あ」
「・・どうかなさいましたか?」
俺は急にケットシ―の言葉を思い出した・・・ロイに聞けば教えてくれるかも知れない。
「ねぇ、ロイ・・・最近シオンに彼女なんかできたり・・した?」
「シオン様に彼女ですか?」
「ロイなら知ってるんじゃないないかって・・思って」
「申し訳ございません、私、御主人様のことを勝手にお話しいたしかねます・・武瑠様ご自身で聞いてみられたらいかがですか?」
うっ・・やっぱダメか・・・さすがシオンの執事だよ・・ガ―ドが固い。
聞けるもんなら聞いてるよ。
結局、俺はなんの収穫も無しにバイトへ向かうことになった。
もう・・なんでシオンの女のことで俺が悩まなきゃなんないんだよ。
訳のわからない衝動に俺は自分で自分に腹がたった。
俺はシオンのことを吹っ切るようにバイトに専念した。
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