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時計の針が10時を打つと山本くんはそそくさと帰っていった。
ここから店長と交代する深夜2時迄は俺一人だ。
最近、就活の為、大学生のバイト二人のシフトが歪な為、皺寄せがあるのかも知れない・・とは言いつつ俺も来年から就活だよ――
「お前、バイト中なのに何、ボ―としてる」
へ?・・いきなりレジカウンターに缶コ―ヒ―が乱暴に置かれた・・う、嘘?
「・・シ、シオン・・なんで?」
目の前に現れたのは目にも艶やかなシオンだった。
「・・ったくお前は、私がコンビニに来てはいけないのか?」
「・・あ、ごめん・・びっくりしちゃつて」
「一人か?」
「うん、2時迄はね・・で?どうしたのこんな夜更けに」
「・・ああ・・気晴らしだ」
ふ~ん・・気晴らしねぇ・・・なんの気晴らしだよ?
「今日は何時ものお客さん来ないの?」
「「え?」」
しまった・・俺、無意識に聞いちまったよ。
「何故・・お前が知ってる?」
シオンが凍りついたような目で俺を見た。
え~?俺ってそんな不味いこと聞いちゃつた?
「あ・・イヤ・・何となく聞いただけだよ」
――!痛ッ・・シオンが恐ろしい形相で俺の手を掴んでた。
「武瑠、何を知ってるのか知らないが・・絶対に・・口外するな」
「・・は、はい」
こ、恐いです・・シオンさん・・俺は只頷くしかできなかった。
シオンは缶コ―ヒ―を荒々しく掴むと店から出て行ってしまった。
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