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「今日来た二人、同期なんだってさ。歳は違うけど」 「んー?」 志保までが新入りの噂を始める。ミーハーな子じゃあないんだけど、それだけ話題に上ってるということだろう。 志保の居る3課に配属されたのは立石さんという若そうな人。速水さんは販売促進課。セブン・シーズとコラボするのは健康美容サプリメント部門だから、3課のカテになる。 「コーヒー要らないの?」 「うん、ドリンク買ってきた」 残り15分の昼休み、気心の知れた志保と過ごせるのはほっとする。 休憩室は12畳ほどのスペースで、観葉植物の向こうは自販機コーナーがありウォーターサーバーも置いてある。 椅子席には他の女性社員達が居たので、私達はソファ席に陣取った。 新製品の蒸しパンはほんのり甘く好みの味で、もくもくと私が食べているあいだ志保は後輩のタカノ君とマエノさんが最近怪しいと楽しそうに喋る。 「タカノ君、志保のお気に入りでしょ? 他の女子とくっついても良いの?」 ドリンクを飲み干していると、パンの空袋が床に落ちてしまった。 「アレは観賞用。見てるだけよ、可愛いから」 私が袋を拾おうとテーブルの下に頭を潜らせていると、休憩室に他の社員が入ってくる足音がした。自販機に向かうようだ。
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