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圭介さんの茶色の瞳はいつも柔らかいが、その瞳からは本心が窺いづらいことを私は知っている。 そして対峙する彼も然り、だ。 その時“ピン、ポン”と音がして、数名の足音と話し声が聞こえた。 そう言えば圭介さんが来たときはエレベーターの音を聞かなかった。――ああ、お箸を洗っていた時か。 昼休みはまだ残っているが、オフィスに戻って来たのは3課の向井課長と数名の女子社員だった。 「あら、速水君! 水口課長とお知り合い?」 「いえ、ご挨拶が出来ていなかったので」 廊下を入った所で彼等を目にした3課の女性陣は目を輝かせ、『お時間があれば飲み物でも』と休憩室へと彼を誘う。 「ありがとうございます。でも立石を放ってきたので戻らなくては。彼を置いて美女達とお茶をしてたなんてバレたら・・・・」 「アハハ! ああ、あの可愛いコ」 「フ、彼あれでも今年27になるんですが」 彼が漸く離れて行ってくれたので、私はこっそり背を向けて昼食を再開した。 「二人とも整った顔してるわよねえ。明日は女子社員は間違いなく全員参加だわ」 「ハハ、そうですか? お忙しい方もおいでるんじゃ」 その声が一瞬こちらへ向けられた気がして、私はご飯を喉に詰まらせかけた。
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