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「でっしょぉー?! リンの字は普通そっちですよねぇ? 私、最初『スズカ先輩』だって思ってました!」
そんな私に気づかない文恵ちゃんの明るさに、今は救われた。
「アンタが『キバナスズカさん!』って大声で呼んだの覚えてるわよ。3課まで聞こえたもの」
「え~、忘れてくださいよぉ」
「有名だわよ? 先輩の自己紹介聞いてなかった新入社員って」
「違いますぅー! 緊張してたんですぅー!」
頬を膨らませる文恵ちゃんに小鹿さんがあははと笑い、私を振り返る。
「珍しい名前なのにね? コノハナリンカさん」
「はあ、」
「僕の名前、覚えてくれてます?」
「えーと、立石、恭人さん?」
「正解。 これから宜しくお願いします、リンカさん」
「あ、・・・・はい。どうも」
なかなか人懐っこい人だ。
良隆くんとは違う、健康的で影の無い笑顔。
そんな風に比べて一瞬、もう1人を忘れかけてたら
「・・・・鈴香」
「 、」
低い声で名前を呼ばれ、半開きだった口を引き結ぶ。立花さんと志保は文恵ちゃんの名前の話題で笑っているから、聞こえてなかったようだ。
・・・いや、何故私には聞こえてしまったのだろう。
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