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お店に入ると開始の時刻より随分早く着いてしまったせいか、広い会場はまだ3分の1程しか埋まっていなかった。
「あら、本日の主役が到着しちゃったわ! 早かったわね」
「お世話になります。自分たちは遅れてはいけないからと、残業禁止になったので」
「アハハ、まあまあ座って?」
どうやらこの会の幹事らしいお姉様方は販促課の女性陣。彼等に奥の席を案内すると、そのまま周りの椅子に腰を下ろした。
そこ管理職の席だけどね、強いなお姉様方。
“お姉様方”と私は呼んでいるが、30代後半の彼女達はみな既婚者だ。そのせいか販促課の男性陣はよく2課や3課と合同で飲み会をしたがる。
女性目当てと言われると角が立つが、『ラッキー!』と喜ぶ女性もいるんだよね。
まあ、そんな会社だ。
向井課長みたいな女性にも憧れるけど、自分は男性のサポートでいいやという女子社員が普通。
志保は違うと思うけど。
私は・・・・あんまり頑張るつもりは、ない。
同僚の足を引っ張らないように、
任せられた仕事はきちんと丁寧に。
そうは思っているけれど
上昇志向は、ないなあ。
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