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やがて金崎さん達もやって来て、いつものメンバーで喋っているうち席も埋まりだした。回転テーブルで大皿料理だったから、私1人増えても確かに問題は無い。
お姉様方は幹事席に戻り、主役の2人は部長やベテランの社員に囲まれて談笑している。立花さんはやや緊張してるみたいだけど、もう1人は余裕なもんだ。
――“緊張する”なんて縁が無さそうだもんね。昔から。
「・・・・・・。」
厭だ私。
思い出すなんて、したくないのに。
私は金崎家のシベリアンハスキー自慢に意識して耳を傾けた。
定刻になり,部長の長い挨拶と2人の簡潔な『宜しくお願いします』のあと、乾杯で宴が始まった。
幹事ではないものの、主賓にお酌の1つもしないのは不自然だろうと、時を見計らって文恵ちゃんを誘い立ち上がる。
『じゃあ俺も』と金崎さんも椅子を引いた。文恵ちゃんが動くと高確率で彼も付いてくるのは計算済み。
「少しは慣れましたか?」
金崎さんという人は真顔だと近寄り難いタイプの顔だけど、笑顔で喋りだすと途端に癒やしのオーラを放つ。多分この顔で営業成績を伸ばしているんだ。
「まあ、なんとか」
と応じる人達に私は金崎さんの横から回り込むようにして、2人のグラスにビールを注ぐことに成功した。
これでミッション終了。
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