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隣には花のような笑顔で文恵ちゃんが立っているから、後は彼女に任せて私はもう一つ隣の部長と向井課長にお酒を注ぎにまわる。 ところが彼等は昔話で盛り上がっていたらしく、さらっと笑顔で私のお酌を受けると2人の世界に戻ってしまった。 「鈴香さんは長谷川さんと同期なんですってね」 不意に名前で呼ばれて振り向くと、人懐こい黒い瞳が私を見ていた。 仕方なく、体の向きを変え元の輪に戻る。 「はあ、」 「じゃあ入社5年目、でしょ? 同い年じゃないですか? 僕はもうすぐ27になるんだけど」 「・・・・・・。」 別に周知の事実だから良いけれど。年齢を大声で指摘されるのが嬉しい歳ではなくなってきた。 金崎さんが苦笑いで見てるけど、男性は年齢を重ねても余裕でよろしいこと。 「え~と、立石さん? 女性の年齢をそんなハッキリと言うもんじゃないですよ」 私の無表情に気づいた文恵ちゃんが諭してくれたけど、声が大きい。 「あ! ゴメン鈴香さん! 同い年だからって、つい」 「いえ、お気になさらず」 悪気の無い人なのは確かなのだけど、私は少々居心地が悪い。
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