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もともと初対面の男性とプライベートな話をするのは苦手な私。ところがこの人はその逆のようで、尻尾を振って話しかけてくる。 そしてその横に立つ大柄な人が射るような視線を向けてくるものだから・・・。つい私は視線を下げ、金崎さんに半身を隠すように寄っていった。 「そっかぁ。ハナも歳を気にする年齢になったか?」 「別に気にしてませんよっ」 金崎さんが明るく取りなしてくれる。ついでにありがたいのかどうか分からないようなフォローも。 「あ、それとコイツ、男から名前で呼ばれると怒るから。うちの社じゃ水口課長以外・・・・あれ、じゃあイケメンなら良いのか?」 「いやイケメンは関係ないし、課長も仕事中は『木花』って呼んでますし。っていうか、怒っていませんからね? 立石さん」 「ハハ、でもタメだったら敬語はナシで良いかな」 「あ、はい」 「俺は2コ上だけどハナは敬ってくれないよな? 態度でかい」 「失礼な。ちゃんと敬語使ってるじゃないですか」 「ハハ、仲良いんすね。・・・・あ、でも速水は僕と同期ですけど歳は2つ上なんですよ。アメリカに留学してたんで」 立石さんが皆の視線を彼に向けさせた。
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