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「いえ、ちょっと。・・・・なんだか疲れが溜まっちゃってて」 「歳だねー鈴香」 「同い年じゃん!志保も」 「ちょっと志保、じゃあ私はどうなるのよ」 「先輩のパワーに敵う20代は居ませんって」 「こらっ、差ぁ付けないでよ! 私だってこの間まで」 「良いじゃないですか、ちゃんと嫁入りが決まってるんですから」 そう、実はこの先輩、来月結婚式を控えている。相手は高校時代の後輩らしい。 「彼氏さんとは高校からずっとですか? 凄いなぁ、続いてるなんて」 文恵ちゃんの声は心底羨ましそう。 本当に、長い付き合いでこれからもずっと一緒と決めただなんて、凄いと思う。 「くっついたり離れたりだったのよ? 腐れ縁っていうか、他に居なかったっつうか」 「運命の相手だった、ってコトじゃないですかぁ」 「大袈裟よぉ。志保みたいに美人なら相手には困らないんでしょうけどねー」 「相手なんか居ませんよ。つか要りませんし」 先輩にビールを注ぎ足した志保はそう言って、それから回転テーブルにあった新しいグラスを私に持たせ、ビールを注いでくれた。 「ほんっと長谷川先輩ってば、化粧品のCMに出れそうなくらい奇麗ですもんね」
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