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「鈴香、その指輪さぁ、・・・・ずっとしてるつもり?」
「・・・・、つもり。」
「もう3年だよ?」
「まだ3年経たないよ」
志保がフン、と鼻で息を吐いた。
「ま、私が言うのもなんだかね」
「そうそう」
フ、と笑うと宴会場の扉が開いた。
「ハナ! デザート配られてるぞ!」
金崎さんに呼ばれてテーブルに戻ると、同期の女の子と喋っていた文恵ちゃんも戻ってきた。
「なんかもう、1課のほうでもすごい噂らしいですよ? あの2人」
「そこまでイケメンか?」
「顔だけじゃなくて・・・・。ほら、立石陸人って知ってます?」
「ああ、『神の手を持つ』って、有名な」
「そう! 立石さん、あのドクターの息子さんなんですって!」
「おおーっ!? すげぇ!」
私は2人の会話を、ラズベリーソースの掛かった白いチーズケーキにフォークを刺しながら聞いていた。
・・・・スーパードクター、立石陸人。
そっか。“神の手”の人、ね。
息子さんなんだ、立石さん。
・・・・、ふうん。
「そして、速水さん! なんとあの人、セブン・シーズの七海[ナナミ]社長の・・・・」
私は口の端に付いた赤いソースをナプキンで拭いながら、
華ちゃんにもケーキを買って帰ろうかな、と考えた。
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