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「さっきデザート食ってたじゃないか」 「華ちゃんにだよ!」 手にした鞄をぶんっと振って抗議する。 もちろん私も食べるけど。 こんな時間だけど飲み会の後に女の人達がお喋りするのにいいカフェがあって、そこのガナッシュケーキが美味しい。 「華ちゃんにーだよーん」 「酔ってるな、鈴香」 そうかも。うふふーと笑っていると 「水口課長、もうお帰りですか?」 「っ!」 スーパードクターの息子さんが声を掛けてきた。 「ああ、今日はちょっと用事があるんでね」 振り返った圭介さんの向こうに、男性にしては細身の立石さんともう1人、がっしりと肩幅の広い人が並んで此方を見ていた。 「君らは存分に楽しめば良いよ。主役なんだからね」 あー。圭介さんが上から目線だぁ。そっかぁ、課長だもんねぇー、とか。 ぼーっと考えてた私は本当に酔ってたのかもしれない。 「木花さんも、2次会は行かないのか?」 「――、」 切れ長の瞳が真っ直ぐ見つめてきて、私は地面に視線を落とす。疲れてるので、とか適当に言えば良いのに、喋りたくもない。 お酒が入って、大人げが抜けてしまったのだろうか。ふいっとそっぽまで向いてしまった。
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