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「ちょっと。ハナと文恵ちゃんとが来ないなんて、俺泣くよ? 2課の男性陣みんな泣いちゃうよ?」
机を仕切る書類棚の向こうから顔を出したのは2コ上の金崎さん。色素の薄い短めの髪と細く薄い眉で勘違いされがちだけれど、少し喋ればすぐ分かる、人の良い純朴な男性だ。
ちなみに私の木花[コノハナ]という名字を呼びにくいからと『ハナ』って呼ぶのはこの人だけ。
ただし私が飲み会に行かなくても泣くようなヒトではない。つか、そんな人居ない。
「金崎さん。部長が言ってた2課の資料、セブン・シーズから来た二人にお渡しする分、午前中にファイルしときますから持って行ってくださいね?」
「え~、俺ぇ? ハナが持って行ってくれれば良いじゃん」
「私は昼からマルさん達と打ち合わせで。・・・・じゃあ、ふみ」「分かった! 俺が持ってく」
「私行きすよ? 金崎さんも他のお仕事あるでしょうし」
いや、
ファイル渡すだけじゃ済まないから。
営業は1課から3課まであり、受け持つ取引先のタイプが違うから営業のかけ方も違う。
だから出向してきた二人には面倒くさいけど説明する必要があるのだ。『資料見れば分かるでしょ?』では部長に怒られる。文恵ちゃんも大体のことは理解してるけど、突っ込んで質問されるとしたら心許ない。
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