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「いや大丈夫。俺が行くから」 そして、そもそも可愛い文恵ちゃんをあのイケメン達の元に向かわせるなんて金崎さんが断固阻止するのは明かだった。 「え~、私行ってもいいのに」 「文恵ちゃん、あの二人に近づきたいワケ?」 「ええ~? そんな事ないですけどぉ。 単に先輩達がお忙しいかなーって思って」 そう言いつつも文恵ちゃんの口角は素敵な角度に上がっていて。 これは金崎さんもうかうかしていられない。 そこへ 「ほい、仕事仕事。金崎、午後イチでさっきの2人に2課の業務説明頼むな」 圭介さん、もとい、水口課長が部長席から戻って来て まさに“鶴の一声”でこの役は無事金崎さんに決まった。 「木花[コノハナ],新規のS薬局とKストアも資料に入れてくれるか?」 「はい、入れてあります」 「オッケ。金崎、あの二人にはデータと資料に載ってる範囲だけを客観的に伝えてくれよ? 余計な情報は要らないからな」 「分かってますよ」 セブン・シーズから2年間の期限付きで来た二人。今はまだ完全な身内とはいえない相手に、例えば聞かれることなんでも喋ってしまいそうな女子社員はやれない。 人懐っこい外見とは言え男性の金崎さんを向かわせるのは、水口課長らしい選択だなと思った。
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