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  ―――『大丈夫だよ』 ・・・・・・・・誰? ・・・・・・大丈夫って、何が? 体が半分浮いているような感覚。ああ、足が痛い。 けど誰かが優しく・・・さすってくれてるのかな、これ。 ―――『危なかったな、頭も打ったし』 ぽんぽんと俺の頭を撫でる手。もう1人の・・・聞き覚えのある声に、俺は目を開けた。 白い光が降っている中で、俺をのぞき込む2人の・・・・少年? 『え、・・・・夏樹?』 『よう!』 ニッコリと、向日葵のような笑顔。 『俺、・・・・死んだのか。・・・・・・・・まあ良いや』 夏樹に会えたから。 『コラ、良くないだろ』 『フフフ、死んでないよ。死んじゃだめ』 口を尖らす夏樹の隣で、もう一人の少年が微笑んだ。少し長めでさらさらの髪に白い肌、赤い唇。 ・・・・・・どこかで―――? 『大変だったよね、雪が降ってたし』 ドキリとした。 夏樹が事故に遭ったのは雪の晩だ。 そしてさっきも・・・・。 『タイミングが悪かったんだ。雪を悪者にしちゃ駄目だぞ』 夏樹がふわりと両手を広げると、白い光がきらきらと・・・・粉雪になった。 『翔真、雪遊びしよう!』 『いや、体が痛くて無理。』 『しょうがないなぁ。じゃあ、見てて!』 そう言って走ってゆく夏樹が、もっと幼い姿になる。俺はゆっくりと歩いて追いかけた。 『何してるの、夏樹?』 幼い夏樹が降り積もった雪を集めて、何かつくっている。そう言えば子供の頃、七海家の玄関先で雪だるまをつくったことがあった。 『お城つくってるんだ。見て!』 雪で作ったという城は、けれど真っ白ではなくて。黄色や緑、赤、青、ピンクと、色とりどりのガラス玉が埋め込まれている。 『黒い石は入れたくないんだけどなー』 『黒いのも要るんだよ。大丈夫、磨けばピカピカで綺麗だから』 2人の少年は不思議な会話をしている。夏樹が俺を見上げてニカッと笑った。 『もうすぐ出来る。完成したら、行く』
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