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『待ってる人達が居るもんね』 『うん。今度は忘れもの、しない』 あどけない少年達はクスクスと嬉しそうだ。 『翔真も来いよっ』 『違うよ、彼は帰るんだよ』 『そっか』 パンパン、と雪を固めながら目を細める夏樹。一緒に行けないことが悲しくて涙ぐみそうになる俺も、幼い子供に戻っているのだろうか。 『会えるよ、そんな顔するなって、翔真』 そう言って俺の前に立った夏樹は、今度は二十歳くらいの青年になってぽんぽんと俺の頭を撫でた。 『楽しみだな! よろしくなっ、翔真』 そしてひらりと振り返り、雪の中を駆けだして。遠ざかる彼はまた子供の姿に変わっていく。 『夏樹っ、嫌だ、待って!』 『またすぐ会えるよ。大丈夫だよ』 泣きそうになる俺を、もう一人の少年がニコニコと宥める。 『僕もつくってるんだよ、お城。今度は元気な色の石がいっぱい集まったんだ』 指さす先にはこちらも色とりどりで宝石のように美しい石が集められていた。ルビーやエメラルド、サファイア・・・・黄色の石はシトリンみたいだ。11月の誕生石はトパーズとシトリンがあって、鈴香の誕生日前になると毎年買っていたピアスにもシトリンのが混じっている。 『お城が出来たら、僕も行くよ』 柔らかな声。此方の心にすっと入り込む、優しい微笑み。 前から俺を知っているのだろうか、親しげな話しぶり。確かに見覚えのある顔な気はするが――― 『また会えるから楽しみにしててね、って、』 『うん?』 『鈴香に伝えて? ・・・・頑張ってね、―――』 フェイドアウトするように、彼の輪郭がぼやけてゆく。見えなくなる直前、その姿が急に大人びた。 『――っ、よし、た・・・・』 カチャカチャ、と、 小さな音が移動している。 カートに乗せて何か運んでいるのだろう。 離れた所で人の話し声。ピピピ、ピピピ、と電子音。 電話が鳴って「はい、もしもし」と応答する女性。カーテンの開く音。 ――― 以前優樹さんの手術の後に入ったICUがこんな感じだったが。俺はいったい何処で寝ているんだろう。 ・・・・・・・・・・・・、寝てる?
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