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夢の中では夏樹も良隆くんも、しきりに『また会えるよ』と言っていた気がする。 つまり、俺があの2人に会いたいという願望が強いということかな。 それとも―――― 目を伏せて、点滴していない方の手を頭にやると、包帯に触れた。髪を直したかったのだがそうできる状態ではないらしい。腰から下が重いのも、ギプスかなにかで固定されているからか。 『ところで、俺はどうしてこうなったんだ?』 今更だが鈴香に尋ねると、彼女は目を瞬かせ、ティッシュで涙を拭うと 「トラックが突っ込んできたんです」 と教えてくれた。 おそらく地震の所為で電気系統に異常が起き、工事現場の警告灯が消えた。そう言われれば鈴香を穴から引っ張り上げようと焦っていた時、途中から視界が暗くなったような気もする。 鈴香が助け上げられた直後、二度目の揺れが来た。路面が凍結して滑りやすかったせいもあり、反射板の付いたバリケードが倒れたりして。一台のトラックが、道路状況を見誤って工事現場に突っ込んできたそうだ。 『まともにくらってたら命がなかったって、救命士さんも言ってました。でもトラックが落ちる直前に、ちょうど工事現場の機材が横から穴にずれ落ちてきて、先輩を脇に押しのけたんです。 だからトラックの直撃は免れたんですが・・・・、機材やら倒れかけたトラックの下敷きになって・・・・、頭の出血はひどかったし、先輩の脚が・・・・』 『・・・・ぐちゃぐちゃ?』 俺の言葉に鈴香はぶんぶんっと首を横に振ったが、 『へ、変な方向に曲がってて、もう私、気を失いかけました・・・・』 恐怖が蘇ったのか青ざめて固く拳をつくる。布団の掛けられた俺の体に視線を流して、「痛みますか?」と心配そうだ。 『今は痛いと言うより、重たいって感じかな』 俺はふうう、と溜息を吐いた。 『良かった・・・・・・』 『よっ、良くないです! こんな、大怪我して、』 『鈴香が無事だったんだ。良かった』 本当に良かった。 そう言えばあの時、俺は時間が無いと焦ったのだけれど、あれは危険を予知していた・・・・・・と言うより、 ―――『急いで』 ―――『早く、危ない』 彼が、教えてくれたに違いない。
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