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「勿論、将来を考えているということで。僕には生涯鈴香さんしか居ないと確信していますので」 「あ、あぁら~、まあ。・・・・鈴香ぁ、羨ましいわぁ。私もこんな素敵な方にそんなセリフ言われてみたい」 「お母さん?」 頬を染めた母親のジャケットの裾をつんつんと引っ張って、私はチラッと、視線でお父さんを指した。 「そりゃあ残念だったな。私も30年程前に同じようなことを言った記憶があるんだが。“こんな素敵な方”じゃなかったから、忘れてられているようだ」 ほらぁ。お父さんの機嫌を損ねてしまったじゃないか。 「ええ~、言ってないわよ? お父さんが言ったのは、『死ぬまでずっと一緒に居ような』でしょ」 「違うのか、それ」 「違うじゃない! 一緒に居たって、お父さんが他の女性に心を奪われることもあり得るじゃないの」 「そんなはず無いだろう。現に私はこの30年近く、お前だけじゃないか。お前がどこぞのアイドルにキャアキャア言ってる間も」 「『どこぞの』って、ジャ○ーズだけど。でもあの人はアイドルじゃなくてアーティストよっ!」 「お母さん、ちょっと、」 「良いじゃないのー。お父さんはリアルに綺麗な看護師さん達に囲まれてるんだから。しかもとっかえひっかえ」 「日本語がおかしい。それに私が変えてる訳じゃないぞ? うちは公立の総合病院だから看護師も異動が多いんだ」 「ねえ、お父さんもっ」 「そーお? でもこの間も小笠原さんが『木花先生は若い看護師にもモテるんですよねー』って」 「小笠原って誰だ。もしかして大河原師長か」 「そうそう大河原さん。ユキエさんよ」 「サチエさんだ」 「ちょっと!! もうっ、こんな所で夫婦漫才止めてくれない?」 ほら!! 先輩が笑いを堪えきれなくて困ってるじゃないっ。 「クククッ、いや、おふたりが仲が良いというのは凄く分かりました。ハハ、素敵なご両親に育てられたんだな、鈴香」 「・・・・アハハ、」 ええ、一応。楽しい家庭で育ちましたけど。
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