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黒曜石の瞳、男らしい眉、顎のライン。
重ねられる手の感触とか、ほんの少し頭を傾げて微笑むところとか。
昔と変わってなくて、そして今もやっぱり好き。
「鈴香。・・・・好きだ、とても」
「・・・・・・私も、です」
先輩を好きだと認めてしまうと溺れるように嵌まってしまった、昔と同じ。
私を裏切った人だからと警戒していたのが、戒めが解けた途端、大好きだった心が飛んで戻ってきた。
「鈴香。ぎゅーってさせて」
体をひねって向かい合うと、最初はそっと、そして徐々に力を込めて抱きしめられる。
「―――、」
「・・・・・・・・・・翔真さん?」
しばらく無言の時が流れ、温もりの境目が分からなくなった頃、先輩が小さく何か呟いた。
「・・・・ティ アモ」
―― イタリア語?
よく知られている言葉で、良隆くんが翻訳してたホームページなんかにもよく登場していた。
「セイ ネル ミオ クオーレ」
「・・・・、」
少し掠れた声で呟かれた愛の言葉。
これも知ってる。『あなたは私の心の中に居る』だったっけ。
「イタリア語・・・・」
良隆くんの翻訳した小説を読みながら、彼に教わったイタリア語のカタコトを少し思い出していたところだったけど。
翔真さんも喋れたのだろうか。
「昔はスペイン語教えてくれましたっけね」
「ふ。・・・・エレス ミ アルマ ヘメラ(あなたは私のもうひとつの魂)」
「それ。」
今度はスペイン語。昔も言われた愛の言葉。
「ソノ トゥオ ペル センプレ(俺はずっと君のもの)」
もう一度、誓ってくれるんですね。
「ノン ラシャルティ マイ ピュ(二度と離さない)」
「・・・・すみません、それは覚えてません」
正直に言うと、翔真さんが笑ったのが振動で伝わった。
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