9人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
暫くして台から降りると、
背後に花純が立っていた。
開けっ放しにしていたドアから入ってきてしまったのだろう。
花純は純一を真似て、
木箱に足をかけようとする。
「花純はダメ!」
純一がそう叫んで花純の手を強く引っぱると、
彼女は尻餅をついて大声で泣き出した。
その声に気付いた富夫が飛んできて、
釜の前で手足をバタつかせる花純を怒鳴りつける。
「また、
おめえは、
こんなとこで遊んで。
痛い目みんと、
わからんがあけぇ」
そう言って花純の右手を掴むと、
その指先を鉄釜の縁に押し当てた。
「ギャーッ」と、
まさに火がついたように花純は喚いた。
最初のコメントを投稿しよう!