131人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
新千歳空港へは二時過ぎに到着。ばあちゃんの待ってる病院へ到着したのは三時頃だった。
翌日の夜、自宅でお通夜をして、次の日、近所にあるセレモニーホールで葬式をした。
葬式が終わり携帯を見ると、課長からのメールが入っていた。「一週間忌引き休暇で休めるから、ゆっくりしてこい」というメッセージ。
俺はそれに「ありがとうございます」と返した。
葬式の翌朝、鍵も何も掛かっていない玄関がガラガラと開く音がした。
「おはようございます」
男の人の声。
玄関に出てみるとそこにいたのは課長だった。
「……あ」
いるはずがない課長。俺はお礼とかいろいろ言わなきゃいけなかった。でも、なに一つ言葉がでてこない。ただ立ち尽くすだけだった。
「有休が、余ってるから」
課長は不器用な言い訳をして、苦笑いした。その不器用な笑顔を見て、部下のくせに、新米のくせに、俺は……。
ポテポテと歩み寄り、首を触りながら課長の前に立って言った。
「……嬉しいです」
おわり
最初のコメントを投稿しよう!