ふたりぼっちの夜

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 翌日目が覚めると、俺は課長の腕の中にいた。課長はぐっすり寝入っている。  忘れていればよかったのに、何もかも覚えていた。  首を起こし時計を見れば、八時半。  ばあちゃんの所に行ってあげなきゃ……。  課長を起こさないようにのそっと体を起こした。課長も俺も裸のままだったけど、体はなぜかきれいだった。腹の辺りを擦ってもサラサラしている。課長がわざわざ後始末までしてくれたらしい。  ベッドの脇に脱ぎ散らかされていたパンツに足を通し、スーツを着る。あんなことしたの初めてなのに、想像するよりずっと俺はピンシャンしていた。  寝室を出て、リビングのローテーブルを見ると手紙があった。『飛行機のチケットは予約してある』携帯にはチケットセンターからのメールが届いていて、昼の十二時十五分に成田から出る飛行機のチケットが一枚予約済になっていた。  札幌、新千歳空港行き。  俺の実家の住所まで調べて予約してくれた?  俺は寝室に戻り、課長に「ありがとうございました」と言って深く頭を下げた。
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