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立ち上がり、自分の足で床を踏みしめることで、たったそれだけのことで、妻は泣いた。
自分の頬を両手で触り、滂沱の涙を流しながら、微笑んだ。
その顔は、今まで見てきた妻のどんな顔よりも、美しく見えた。
妻は、ありがとう、と言いながら私に抱き付いた。夢ではない、妻の温もりを感じた。またこうしてこの腕に妻を抱けることが、こんなにも幸せなことだとは思いもしなかった。
当たり前に感じていたものが全て、眩い程の色彩に満ち溢れて、眼前に迫ってくる。まるで極彩色の洪水だ。
世界が今、生まれ変わったのだと感じた。
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