妻を看取る。

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病み上がり、と言ってもいいのか分からないが、不思議と妻は元気だった。昨日まで寝たきりだったとは思えない程、体調も良いらしい。 明日になったら何をしようか。 そんな希望に満ちた会話が出来る程に、我々は幸福で満ち足りていた。 明日になってもこの幸福が続くに違いない、と無邪気に信じていた。 永遠に続く幸福な日々などないことを、もう知っていたのに。 余りの幸せに、目が曇っていたのか。 あえて見てみぬ振りをしたのか。 心が麻痺していたのか。 目覚めればきっと、今日の続きの明日が当たり前のようにやってくるのだと無意識のうちに信じている幼な子のように。 二人で抱き合って眠った。
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