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また何度目かの妻の最期を看取ったある朝、僕は一人で外へ出た。
今日一日は、妻は文字通り、死んだように過ごしている。
世話をする必要はない。
妻のおかしな輪廻を繰り返す日々で、僕はすっかり疲弊していた。
僕自身も随分年を取ってしまったような気がした。
ふと、掌を見れば、皺が増えている。
あれからどれだけの月日が流れたのだろう。
僕は、どうなってしまったのだろう。
風がふわり、と頬を撫でた。
空を見上げると、雲ひとつない青が、そこにはあった。
胸が震えた。
分けもなく、涙が溢れた。
気持ちの良い朝、人目も気にせず、僕は
街のど真ん中で滂沱の涙を流した。
ただただ、声が枯れるまで、泣き続けた。
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