新たな歓び

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「君の希望はなんだい?何でも叶えてあげるよ」 さすがに海外旅行とか、何日も行程にかかるようなものは、寝たきりで外出できない妻にとっては不可能だといえるだろう。しかし、日帰り旅行程度なら叶えてあげられる。 この想像に、僕の方がわくわくしてきた。 一体、いつ以来だろう。こんなに心が躍るのは。 妻にはゆっくり考えるようにと伝えた。 困った顔で首を傾げた姿は、たよりない少女のようで愛らしかった。 妻の希望によって、どのように”奇跡の一日”に向けて生活していくか、その計画を立てるのは僕の役目だ。 妻が一番最初に叶えたい願いは何なのか。それは僕にとっても気になる問いだ。難問のクイズに頭を悩ますように、あれかこれかと思いついては、後で答え合わせをする時のために頭の片隅にしまっておいた。 あの慟哭の日以来、僕の日常は少しずつ変わってきていた。
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