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買い物に出た帰りだったそうだ。
自分の誕生日にわざわざ料理することもあるまい、と外食を提案した私に、妻は笑いながら首を振った。
だからこそ、気のおけない我が家で、美味しいもの作って、二人で食べて、ゆっくりと過ごしたいのだと。それが自分へのプレゼントだと、妻は言った。
だから、私の好きなワインだけは用意してくださいね、と茶目っ気たっぷりにウィンクまでして。
私は頷きながらも、妻へのプレゼントは何がいいか考えていた。花やお菓子では余りにもありきたりすぎる。何か妻が驚くような、それでいて喜んでくれるような、素敵なものはないかと悩むことさえも、幸せだった。
きっと妻は、何だかんだで私の好物をたくさん作ってしまうのだろう。愛されている、と素直に思えた。
そんな妻を喜ばせてやりたい、
そう思っていたのに。
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