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妻は、なかなか目覚めなかった。
脳に異常はなかったが、当たり所が悪かったのだろう。四肢は不随となり、退院してからも寝たきりの生活が続いた。
妻は、ひたすら私に頭を下げた。
息を吸うように謝罪の言葉を口にした。
そして最後にはいつも、
ーーー生きていてごめんなさいーーー
そう、言っていた。
私は否定することしか出来なかった。
そんなことはない、気に病むな、生きていてくれるだけで嬉しい、案ずることは何もない、と譫言のように繰り返すだけで、
何一つ、妻を安心させる言葉を、贈ってやれなかった。
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