第1章

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「それ、 さっき風で飛んだのをちょうどマヤが拾ったんです。 砂場で山にしか見えないお城を作っているとき、 ちょうど砂場にストーンって落ちてきて」  女性はストーンという部分で手を水平にし、 下げるジェスチャーを交えた。 綺麗な顔立ちからは想像がつかない行動に、 意外ととっつきやすくひょうきんな人なのかもしれない、 と僕は感じ始めていた。 「どうして僕のだ、 って分かったんですか?」  すると女性はくすくすと笑い、 口を開いた。 「だって本を読んでいるのが君しかいなかったから」 「あっ」  僕は公園内をもう一度見渡した。 他にもベンチがあり、 人が座っているが本を読んでいるのは僕だけだった。
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