第1章

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「特に土日とかの週末によく来てますよね?」 「・・・はい」  いよいよ僕の仮説が真実味を帯びてきた。 案に人を疑うのは好きではないが、 そう感じてしまったものは仕方がない。 一種の不可抗力だ。 「あたしもよく来てるんですよ」  女性は横でムスッとした顔をしているマヤという子に視線を落としながら「この子と」と言葉を付け足した。 「何回か挨拶してるんですけど覚えてません?挨拶っていってもいつもなら目が合ったらお互いに頭を下げる程度だけどね」  何だ、 僕のストーカーじゃないのか。  安心したのではなく、 僕はがっくりと肩を落とした。 公園にはいつも何組かの親子連れがいる。 しかし、 はっきりと顔は覚えていない。 いま目の前に立っている女性もたしかに見たことはあるが、 言われてみれば・・・程度である。
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