第1章

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第一章 出会い  僕は並木道を歩いていた。 つい先日、 高校を卒業し、 進学先も決まっている。 僕の通っていた高校はさほど偏差値は高くない。 でも、 自慢ではないが僕はその高校でいつも席次の上位をキープしていた。 しかも学年一番ではなく、 毎回決まって二番。 どんなに頑張っても席次一番を獲ることはできなかった。  春風にのって並木道の樹木が独特の香りを僕が歩いている空間を漂っている。 人によっては苦手な香りかもしれないが、 そんな香りが僕はとても好きだ。  並木道を抜けると幼いころからよく足を運んでいる公園が顔を出した。 そのまま歩き、 公園の入り口で足を止める。 入り口の壁にある御影石は表札の役割を果たし、 『月夜公園』と刻まれている。 はねるところははね、 まっすぐな線で刻まれている文字は熟練の手が成せる業だろう。
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