第1章

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 公園の入り口から歩を進めた。 子どもの母親らしき女性と目が合ったので、 僕は軽く会釈をした。 「こんにちわ」  母親らしき女性が急に挨拶をしたのでびっくりした。 僕の会釈に対して口を開いたのは分かるが、 公園に足を運んで実際に挨拶をされるのは初めてだったので心の中に戸惑いが生じた。  ドクン、 と心臓が跳ねた。 「こんにちは」  動揺したのを悟られまいと僕は笑顔を作り、 挨拶を返して歩を進めた。  さて、 どうしよう。  母親らしき女性に話しかけられたことでベンチに腰を下ろそうか迷った。 というのもその女性が立っている位置とベンチの場所はかぎりなく近い。
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