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しかし、
僕の目はベンチに座ったまま周囲を見渡していた。
地面にはところどころに落ち葉が積もっており、
もしかしたらその影にブックマークが落ちているのでは?という思いにかられた。
「探してみようかな」
僕は読みかけの本を閉じた。
強風にも負けずに本の間には桜の花びらが挟まったままだった。
花びらから出た液がページにしみつくかもしれないが、
それはそれでいい。
味が出る。
「あの」
本をバッグにしまおうとしたとき、
誰かが話しかけてきた。
僕の影と僕の前に立っている人の影が重なっている。
その横にはもうひとつの影があった。
ぽつんとした小さくてかわいらしい影は、
僕と重なり合う影に引かれているように思えた。
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