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「海に突っ込みそうになるところをおじいさんに助けられたの。そのおじいさんは大きいごみ袋を持ってて。いつもその時間にゴミ拾いをしてるって言ってた」 夏の間に思いっきりみんなが楽しく遊んだ砂浜はゴミだらけ。 花火の燃えカスやバーベキューの残り、遊び用の釣り道具、コンビニおにぎりのセロハン、ペットボトル等々。 みんなが気持ちよく使えるように、海に流れていかないように。間違えて魚や鳥が食べてしまわないように。誰が言うでもなく黙々とやってるんだ。 「そのおじいさん、どう見ても八十は越えてそうだったの。でもすっごくシャキシャキで。 私を片手でひょいって救い上げてくれた。お礼に何かと言ってもお互いさまって一言言っただけでそのまま行ってしまった。 その後ろ姿見ていたら、なんだか自分がとんでもなくちっさいなって。 世の中のお年寄りはみんなこんなんだって、自分が何かしてあげないといけないんだって思い込んでたというか」 動画はすでに止まっている。 でも彼女は画面を見つめている。 早朝の出来事を、真っ黒の画面に再生しているようだ。 「で、どうするの?」 随分と陽が高くなっている。時計の針は十時半を示している。 「もうちょっとがんばろうかな、なんて思ってる。 実はそんなこと思いながら車に戻って足を拭いて。     
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