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よく見るとジーパンの裾が塩で光っている。布は海水で濡れると乾きにくい。 本当はいつからいたんだろう。 さっき彼女が教えてくれた場所にずっといたのか? 僕の頭の中は混乱する。 だけど聞いていいことなのかどうか分からない。なんといっても今知り合ったばかり。名前すら知らない。厄介ごとに巻き込まれるのもちょっとまずい。 特に今は。 「あの。私、酒井といいます。お名前お聞きしてもいいですか?」 「あ、山下です。山下智樹」 「山下さん、ですか。あのそれで、さっきの話なんですが」 さっき? どのさっきだろう。 僕が首をかしげていると彼女が僕のスマホを指さしてくる。 「海を撮っていたって言ってたでしょう?見せてもらってもいいかな、いいですか?」 一つわかった。あっ、と手を口に持っていきながら言い直しをしているのはまだ社会に出て日が浅いから。 学校では大人は教師だけ。世の中に出たら周りは大人だらけ。どこからどこまで、の線引きがまだ上手にできていないんだな。 僕は自分のスマホをいじり、撮影した動画を選ぶ。 「結構撮ったけど、これが最新のものです。日が高くなってから撮ったから画面も明るくて、見やすいと思う。どうぞ」 そのまま彼女にスマホを渡した。 「ありがとうございます」     
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