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コクトーだったかな。 今の彼女はまさにそれだ。 自分のペットを口につけ、ごくりと喉に流し込む。 空が晴れてきた。 夏の終りとはいえ、まだまだ青い空が続く。 気圧が上がってきたからか、上昇気流が起きているようだ。 自分たちの頭上にはまだ雨雲の残りや筋雲もあるけれど、水平線の先には入道雲が見える。 「私、地元の介護施設で働いてるんです」 唐突な内容に驚いて、思わずペットボトルから口を離してしまった。 やばい。首にも炭酸がこぼれた。 慌てて腕で拭うと、彼女が自分のブラウスの袖で僕の首を拭き始めた。 「だ、大丈夫だから」 彼女の腕をやんわりと押しのける。 「ご、ごめんなさい。私、言葉が足りないってよく先輩方に叱られるんです。すみません」 焦る彼女に僕が見せる態度は大人じゃなきゃいけないんだけど。 「ぷっ」 あんまり可愛らしくてつい、笑ってしまった。 僕の笑いが収まる頃、彼女が再び話し始める。 「高校を卒業して家の近くの介護施設に就職したんです。最初は夢があって毎日が楽しかったんです」 「どんな夢?」     
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