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(またかあ)  いつものことなのだ。  最短で三日、最長で二ヶ月。俺は今までできた彼女という彼女に振られ続けている。理由は様々だけれど、「好きな人ができた」はわりと上位に入る。  自分でも思い当たる節がないわけでもない。だから毎度のことではあるけれど、平気といえば平気なのだ。 (まあ、遅いか早いか、だよな)  どうせいつか別れてしまう。出会った瞬間から、告白して付き合いが始まってから、電話やメールのやり取り、デートの約束、当日、その帰り道。いつもふとした瞬間、俺はついいつも別れる時をイメージしてしまう。  人との繋がりは簡単に壊れてしまう。いくらその瞬間が楽しくても、毎日必ず夜が来るように、その関係には終わりがくる。親や友達とも、恋人とも、死ぬまで一緒にはいられない。いつかはひとりになってしまう。その時、残されて傷つくのは嫌だ。立ち直れない傷を背負って、この先何十年も生きるなんて俺にはできないと思う。  だから表には出さないけれど、その終わりが頭を過ると、それほど親しくしないようにしようと心の中でセーブする。だから振られるのかもしれないけれど。  もしかしたら俺は、人と付き合うことに向いていないのかもしれない。
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