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 京介とは、母親同士が昔からの友人で家も近所だった。京介の家は共働きで、六歳の頃から放課後はほとんど毎日うちに来ていた。同い年でお互い一人っ子なのに、母親に「この子いつもぼーっとしてるから面倒見てあげて」と言われたことを間に受けて、物心つく頃には京介はまるで兄のように振る舞った。  俺が風邪を引いたり怪我をすると、彼女がいても部活があっても俺を優先する。だから京介の歴代の彼女には軒並み嫌われた。それが嫌で体調不良を隠すと、あっさりバレて白状させられ、今度は決まった彼女をつくることをやめてしまった。それにより俺がもっと女子から嫌われたのは言うまでもない。  あまり愛想のいい方ではない陰気な俺が、唯一親友と呼べる相手が京介だ。正反対ですぐに誰とでも仲良くなれる人気者の彼が、いざというとき俺を一番近くに起きたがるのは、少なからず優越感をくすぐられた。こんなにカッコいいやつが俺の友達なんだと思うと純粋に嬉しかった。 『―ん、ふぁ……ケイ?』  間の抜けた声が響いた。 「ん。何?」 『ああ、なんか、ちょー懐かしい夢見た』 「なんだよそれ」  それがどういう内容なのかわからなかったが、京介の乾いた笑い声からするとあまり良い夢ではなかったのだろう。深く聞くのは止めて、代わりにパソコンの電源を入れた。 『…シャワー浴びてこよ』  隣にいないのに、まるで人の気配が遠のいてしまったような錯覚に、目を細める。
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